・・・電子レンジを使用したフュージングのプロセス
コツを一言で言えば「気長」。急いてはことを仕損じる。
はじめてキルンを使う場合
キルンの空焼き――セラミックシートを丸く切って、キルンの底に敷きます。はじめてキルンを使う場合は、このまま電子レンジで3分ほど空焼きしてください。
空焼きしたキルンの徐冷――必ず電子レンジから外に出して冷まします。キルンが熱い間は、蓋を開けてはいけません。パカパカ開けるとキルンの寿命が短縮します。
フュージョンさせるガラスの用意
ここでは正方形透明のガラス板に藍色の釉薬で絵を描き、周囲に小さなフリット(ガラスのかけら)を並べたものを用意しました。
1)ガラス板を洗います。黒いマーカー?がついていたりするので、きれいにしてください。乾かします。ガラスを切る場合は、サングラスや手袋その他で自衛しましょう。小さな破片が飛び散るので注意。
2)釉薬はあらかじめ水を何回かくぐらせて、上澄みが濁らない状態にしておきます(米を洗うみたいな感じ。この作業をしないと色がきれいに出ないらしい。何回目かに突然上澄みが透明になって驚きます)。釉薬をガラス板の上に乗せ、厚さ1mmになるようホセでならして形を整えます。
3)ガラス板上のフリットを乗せる部分にミラクルグルー(糊カスが残らないらしい)を刷毛で塗り、その上にフリットをピンセットで乗せてゆきます。
4)作品を完全に乾燥させます。自然乾燥もしくはドライヤーで。少しでも水が残っていると、水蒸気でガラスが割れてしまうそうです。
5)作品より一回り大きく切ったアルミナシートを、セラミックシートの上に置きます。その上に乾燥させた作品を乗せます(右上写真)。
6)キルンの底部を電子レンジの中に入れます。ガラスを動かさないように気をつけながら、蓋をかぶせます。
7)キルンの説明書に書かれた時間(新しいアートボックスの場合、500Wの電子レンジで8分。キルンが古くなって内面が劣化すれば、より長く必要になる)だけ加熱します。タイマー終了後、キルンの上に開いた穴の色を見ましょう。オレンジ色になっていますか。
8)キルンをそっと取り出し、耐熱レンガなどの上に置いて、少しだけ蓋を持ち上げてすばやく中を見ます。作品の大きさにもよりますが、この時点では、ガラスはまだ原形を留めていると思います。
9)キルンをそっとレンジ内に戻し、1分から2分ほど加熱を追加します(30秒の違いで、でき上がりに劇的な差が出ます)。以下、キルンを取り出して中を確認、加熱時間追加……を繰り返します。フリットや釉薬が盛り上がっているうちは加熱が足らず(好みにもよりますが)、必要以上に加熱するとガラスが溶けて、表面張力で縮んでしまいます。どのくらいの仕上がりがいいかはお好み次第。

10)いいかな、と思ったら、レンガの上などで、蓋を開けずに室温に放置して徐々に冷やします。キルンの底部がまだ温かいうちに蓋を開けて作品を冷やすと、ガラスにヒビが入ります(冷め割れ。S字型に割れることが多い)。気長に待ちましょう。一晩でもいいくらい。
11)充分冷めたら作品を取り出し、裏についた雛型シートのくずを水で洗い流します。ガラスにも使用できる接着剤で金具をつけてアクセサリーにします。できあがり。
ガラス同士のCompatibilityについて
上のテスト作品は、できたて当時は問題ありませんでしたが、翌日オレンジ色のフリットが繰り抜かれる形で丸くヒビが入り、数日後にはいくつかの不透明なフリットの周囲にも、同様のひび割れが生じました。
おそらく不透明のフリットと、土台にしたガラスとのCompatibilityがよくなかったのでしょう。透明のフリットはよくなじんでました。異なるガラス同士のCompatibilityは、高温でガラスが示す粘度と、比較的低温(300℃以下・温めたときのキルンの内部は800℃くらいだから、300℃は比較的低い)での膨張係数(1℃の上昇・下降ごとにガラスがどれだけ膨張・収縮するか)の兼合いによるそうです(ブルズアイのHPからの受け売り)。隣り合った者同士、歩調が合わないとギクシャクしてしまうということですね。
大きな作品では、仕上がってから三ヶ月後に突然割れることもあるそうで(落としたんぢゃないよ)、気長に作品の行く末を見守りましょう。
■ハンズ渋谷店に、膨張係数のチラシがあったので、ここに転載しておきます。
国産カトレアガラス:90
ヴェネチアガラス:100-104
ヴェネチア棒ガラス:104
ミルフィオリ:104
ガラス七宝釉薬:105
ソーダガラス棒:113
鉛ガラス棒:122
追記)ブルズアイは90です。
「差が5以上になると、ゆがみが生じてガラスが割れます」という注意書きあり。でも実は上述のように、他の因子も噛んでると思うの。